ココスタ勉強会2022用】令和3年度二次試験「事例Ⅳ」解答(再現答案ではありません)

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こんにちわ、こっぺです。

この記事に書いてあること
  • 令和3年度 二次試験「事例Ⅳ」解答
  • 解答プロセス
  • ココスタ勉強会での参加者の指摘事項(第1問・第4問)
  • ココスタ運営の方からのアドバイス(第1問・第4問)
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合格者の再現答案ではありませんのでご注意ください!

記事の最後に同士(診断士受験生)の方にお願いがありますので、よろしかったらご協力お願いいたします。

この記事で分かること

令和3年度 二次試験「事例Ⅳ」解答

第1問

【設問1】
D 社と同業他社の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社と比較して D 社が優れていると考えられる財務指標と D 社の課題を示すと考えられる財務指標を2 つずつ取り上げ、それぞれについて、名称を⒜欄に、その値を⒝欄に記入せよ。なお、優れていると考えられる指標を①、②の欄に、課題を示すと考えられる指標を③、④の欄に記入し、⒝欄の値については小数点第 3 位を四捨五入し、単位をカッコ内に明記すること。

【答】
①(a)有形固定資産回転率 (b)4.56回転
②(a)商品回転率 (b)25.79回
③(a)売上高販管費率 (b)27.46%
④(a)負債比率 (b)403.82%

【設問2】
D 社の財務的特徴と課題について、同業他社と比較しながら財務指標から読み取れる点を 80 字以内で述べよ。

【答】
ネット販売・移動販売事業による商品回転率が高く、飲食事業で有形固定資産を活用している。課題は販管費削減による収益性改善と借入金返済による借入依存の解消である。

第1問コメント

第1問は同業他社と比較して優れている・劣っている経営指標を2つずつ挙げながら、D社の財務特徴と課題、読み取れる点を挙げよという問題でした。

D社は小売業の他社と比較して、スーパーマーケット事業の他に飲食事業、移動販売事業、ネット販売事業を行っている点から、他社よりも有形固定資産・商品回転率が高い点はピンと来ました。

しかし、移動販売事業が不採算事業で営業利益率が低く、負債比率が高いことから、収益性を改善して借入依存からの脱却が課題だと捉えました。

第1問のココスタでの指摘・気付き

ココスタ勉強会では、第1問をみんなで指摘し合いました。

設問2での僕の解答に対して、他の方から「不採算事業があるのに、有形固定資産を活用している」という答えは矛盾しているのではないか?との指摘がありました。

あ、そう言われてみれば確かにそうかも。

設問1・設問2において、他の方の答えに対する指摘・悩みも出ましたので書いておきます。

設問1・設問2においての「他の方の答えに対する指摘・悩み」
  • 設問1の経営指標で「当座比率」を選択・記述したが、100%を割っているので、優れていると言っていいものかどうか?
  • 設問2の財務的特徴で、不採算事業があるにもかかわらず、「シナジーを発揮して」と書いていいものかどうか?
  • 設問1で挙げた経営指標を設問2で使用しないのはNG?

これらに対する答えは、この記事を書いている3月段階では加点されるのかどうかが分からないので、ふぞろいの発売を待ちましょうw

第2問

D 社はこれまで、各店舗のレジを法定耐用年数に従って 5 年ごとに更新してきたが、現在保有しているセミセルフレジ 100 台を 2022 年度期首にフルセルフレジへと取り替えることを検討している。また D 社は、この検討において取替投資を行わないという結論に至った場合には、現在使用しているセミセルフレジと取得原価および耐用期間が等しいセミセルフレジへ 2023 年度期首に更新する予定である。

現在使用中のセミセルフレジは、2018 年度期首に 1 台につき 100 万円で購入し有人レジから更新したもので、定額法で減価償却(耐用年数 5 年、残存価額 0 円)されており、2022 年度期首に取り替える場合には耐用年数を 1 年残すことになる。一方、更新を検討しているフルセルフレジは付随費用込みで 1 台当たり 210 万円の価格であるが、耐用期間が 6 年と既存レジの耐用年数より 1 年長く使用できる。D 社はフルセルフレジに更新した場合、減価償却においては法定耐用年数にかかわらず耐用期間
に合わせて耐用年数 6 年、残存価額 0 円の定額法で処理する予定である。また、レジ更新に際して現在保有しているセミセルフレジは 1 台当たり 8 万円で下取りされ、フルセルフレジの代価から差し引かれることになっている。
D 社ではフルセルフレジへと更新することにより、D 社全体で人件費が毎年 2,500万円削減されると見込んでいる。なお、D 社の全社的利益(課税所得)は今後も黒字であることが予測されており、利益に対する税率は 30 %である。

【設問1】
D 社が 2023 年度期首でのセミセルフレジの更新ではなく、2022 年度期首にフルセルフレジへと取替投資を行った場合の、初期投資額を除いた 2022 年度中のキャッシュフローを計算し、⒜欄に答えよ(単位:円)。なお、⒝欄には計算過程を示すこと。ただし、レジの取替は 2022 年度期首に全店舗一斉更新を予定している。また、初期投資額は期首に支出し、それ以外のキャッシュフローは年度末に一括して生じるものとする

【答】
(a)2560万
(b)
フルセルフレジの減価償却費:210万×100÷6=3500万
セミセルフレジの減価償却費:100万×100÷5=2000万
差額減価償却費:3500万-2,000万=1,500万
セミセルフレジの売却損:8×100-2000=1200万
当期差額CF:(2500万-1,500万-1200万)×0.7+1500万+1200万=2,560万

【設問2】
当該取替投資案の採否を現在価値法に従って判定せよ。計算過程も示して、計算結果とともに判定結果を答えよ。なお、割引率は 6 %であり、以下の現価係数を使用して計算すること。

【答】
2022年フルセルフレジの投資額:(210-8)×100=20,200万
2023年セミセルフレジの更新費用:100×100=10,000万
1年目の差額CF
設問1参照、2,560万
2年目以降の差額CF
2,500万×0.7+(3500万−2,000万)×0.3=2200万
NPV:2,560万×0.943+2,200万×(0.890+0.840+0.792+0.747+0.705)-(20,200万−10,000万×0.943)=2414.08+8742.8-10,770=386.88万円
よって、NPVがプラスになるので採用すべきである


【設問3】
当該取替投資案を検討する中で、D 社の主要顧客が高齢化していることやレジが有人であることのメリットなどが話題となり、フルセルフレジの普及を待って更新を行うべきとの意見があがった。今回購入予定のフルセルフレジを 1 年延期した場合の影響について調べたところ、使用期間が 1 年短くなってしまうものの基本的な性能に大きな陳腐化はなく、人件費の削減も同等の 2,500 万円が見込まれることが分かった。また、フルセルフレジの導入を遅らせることについて業者と交渉を行った結果、更新を 1 年遅らせた場合には現在保有するセミセルフレジの下取り価格が 0 円となるものの、フルセルフレジを値引きしてくれることになった。取替投資を 1 年延期し 2023 年度期首に更新する場合、フルセルフレジが 1 台当たりいくら(付随費用込み)で購入できれば 1 年延期しない場合より有利になるか計算し、⒜欄に答えよ(単位:円)。なお、⒝欄には計算過程を示すこと。ただし、更新されるフルセルフレジは耐用年数 5 年、残存価額 0 円、定額法で減価償却する予定である。また、最終的な解答では小数点以下を切り捨てすること。

【答】
(a)193.2159万
(b)
フルセルフレジの価格をXとすると
投資金額:100X万円
減価償却費:(100÷5)X=20X万円
セミセルフレジの更新費用:100万×100=10,000万
差額キャッシュフロー:2,500万×0.7+(20X万−2000万)×0.3=6X+1,150万
差額キャッシュフローのNPV:(6X+1,150万)×(0.890+0.840+0.792+0.747+0.705)−(100X万円+10,000万円)×0.943=▲70.456X+14000.1万
このNPVが設問2のNPVより大きくなればいいので
▲70.456X+14000.1万>386.88万
X>193.2159万

第3問

D 社は現在、新規事業として検討している魚種 X の養殖事業について短期の利益計画を策定している。

当該事業では、自治体からの補助金が活用されるため、事業を実施することによるD 社の費用は、水槽等の設備や水道光熱費、人件費のほか、稚魚の購入および餌代、薬剤などに限定される。D 社は当面スタートアップ期間として最大年間養殖量が 50,000 kg である水槽を設置することを計画しており、当該水槽で魚種 X を50,000 kg 生産した場合の総経費は 3,000 万円である。また、この総経費に占める変
動費の割合は 60 %、固定費の割合は 40 %と見積もられている。D 社がわが国における魚種 X の販売実績を調査したところ、 1 kg 当たり平均 1,200 円で販売されていることが分かった。

【設問1】
D 社は、当該事業をスタートするに当たり、年間 1,500 万円の利益を達成したいと考えている。この目標利益を達成するための年間販売数量を求めよ(単位:kg)。なお、魚種 X の 1 kg 当たり販売単価は 1,200 円とし、小数点以下を切り上げて解答すること。

【答】
1kgあたりの限界利益:1200-(3000万×0.6÷50000kg)=840
年間固定費:3000万×0.4=1,200
目標利益達成のための必要年間販売量:(1200万+1,500万)÷840=32143kg

【設問2】
D社は最適な養殖量を検討するため、D 社の顧客層に対して魚種 X の購買行動に関するマーケティングリサーチを行った。その結果、魚種 X の味については好評を得たものの魚種 X がわが国においてあまりなじみのないことから、それが必ずしも購買行動につながらないことが分かった。そこで D 社は魚種 X の販売に当たり、D 社の商圏においては販売数量に応じた適切な価格設定が重要であると判断し、下表のように目標販売数量に応じた魚種 X の 1 kg 当たり販売単価を設定することにした。
この販売計画のもとで、年間 1,500 万円の利益を達成するための年間販売数量を計算し、⒜欄に答えよ(単位:kg)。また、⒝欄には計算過程を示すこと。なお、最終的な解答では小数点以下を切り上げすること。

【答】
(a)38,572kg
(b)
各計画での最大利益
20,000kg以下:(1,400-360)×20,000kg=2,160万
30,000kg以下:(1240−360)×30,000kg=2,640万
40,000kg以下:(1,060-360)×40,000kg=2,800万
50,000kg以下:(860−360)×50,000kg=2,500万
各計画の中で、最大利益≧目標利益額(2,700万) となるのは30,000〜40,000kgのみ
よって
2700万÷700=38,572

第4問

D 社は現在不採算事業となっている移動販売事業への対処として、当該事業を廃止しネット通販事業に一本化することを検討している。

(設問 1 )
移動販売事業をネット通販事業に一本化することによる短期的なメリットについて、財務指標をあげながら 40 字以内で述べよ。

【答】
トラックの売却により負債縮小、移動販売事業に係る人件費削減で営業利益率の改善

(設問 2 )
D 社の経営者は移動販売事業を継続することが必ずしも企業価値を低下させるとは考えていない。その理由を推測して 40 字以内で述べよ

【答】
理由は買い物出来ない高齢者の支援となり地元活性化と地元知名度向上に繋がるから。

第4問でのコメント、ココスタでの指摘・気付き

第4問でのコメントは解答の通りなので特にはありませんが、勉強会での設問1のディスカッション、設問2の指摘は実に興味深いものになりましたよ

設問1は、移動販売事業を止めることでトラックの売却で現金を得られ、それを借入金返済に充てたり、販管費が無くなるので営業利益が改善することは挙げられたのですが、ここで班の中の2人の方がCF(キャッシュフロー)を解答に入れていたことに、イナズマが走りました

運営の方も「その答えが正解ですね」とおっしゃっていた、1人の方が書かれた素晴らしい答えをシェアします。

令和3年「事例Ⅳ」設問1の100点解答はコレ

資産売却と人件費削減によるCF改善により借入金返済し収益性、安全性の改善が可能。

設問2では、戦略的な答えになってしまっていることを指摘いただきました
事例Ⅳは財務・会計に関しての問題なので、戦略的な解答で終わりそうな解答も、財務会計的な効果を含めた解答にすべきでした。

これは非常に納得しました。

まとめ&お願い

まだ1度も2次試験を受けたことがない私、こっぺが1次試験と並行しながら2次試験対策をするために、ココスタ勉強会へ参加するにあたって、令和3年の事例Ⅲを解きながら、解答プロセスも一緒に書いてみました。

ここで同士の方にお願いがあります。

中小企業診断士試験受験生の方で、解答プロセス、解答に指摘事項がありましたら、コメント欄に書いていただくとありがたいです。

2次試験は答えのない試験なので、他にも解答プロセスを導く視点があると思いますし、お互いに勉強になると思いますので、よろしくお願いいたします。

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