官僚制組織〜多くの企業が採用している組織の形
官僚制組織は、今ある会社のほとんどが採用している組織の形で、国・都道府県のお役所だけでなく、僕の働いているスーパーマーケットや飲食チェーンも採用しています。
「官僚制組織」って言葉を初めて目にした人もいると思いますので、ちょっと説明しますね。
官僚制組織って言うのは、アメリカの経営・心理学者「マックス・ヴェーバー」と言う人が唱えた組織の形です。
マックス・ヴェーバーってこんな人です。
目力を持った、いかにも頭の良さそうな方ですよね????
官僚制組織の特徴
「官僚制組織」の特徴は次のことが挙げられます。
- 「規則」「手続き」に従って動く組織
- 階層的に作られた組織
- 「文書」を大事にする組織
- 専門家を育てる組織
- 覚えやすいルール
「規則」「手続き」に従って動く組織
官僚制組織は「規則」「手続き」に従って動きます。
「何をしなくちゃいけないのか」「どのようにしなくちゃいけないのか」を会社のルールとして決めて、働いている人にはその「規則」「手続」に添って考え、行動するように指示されます。
階層的に作られた組織
「階層的」って言うと、ちょっと難しいですよね。僕が働いている会社の組織図を使ってざっくりと説明しますね。
右の組織図で言うと、「しゃちょう」が組織のトップにいて、その下に「総務部」「商品部」「販売部」と部署があります。
販売部を例にとると、販売部の長である「販売部長」がいて、その下にお店の店長、主任、担当者といます。
このように、ピラミッドみたいに作られている組織を「階層性組織」と言う訳です。
これは上下関係ではなく、あくまで階層ごとに役割があることを意味しています。
そして、この組織の形では「命令一元化の原則」になります。命令一元化の原則とは、部下に指示を出すのも1人、その指示の仕事が終わった時に報告するのも1人とする原則です。じゃないと、混乱してしまうからです。
「文書」を大事にする組織
会社の従業員が多くなると、報告や申請・要望の数も多くなって、みんなが相手に口で伝えただけでは忘れてしまって混乱が起きます。
なので「文書」で形にしておく事を大事にします。
専門と分業
官僚制組織は「専門と分業」によって成り立つ組織でもあります。
スーパーマーケットで言えば、野菜の事は野菜売り場の人に任せて、魚の事は魚売り場の人に任せるという事です。
部門を超えて管理する事はないという事です。
覚えやすいルール
これ、簡単に言っちゃうと「マニュアル」です。作業・仕事に優れている人のやり方を「マニュアル」にして、皆んなにやってもらう事で、簡単な仕事・作業なら誰でもできてしまいますし、作業量や作業時間の基準も出来ます。
この「マニュアル」がある事によって「専門家を育てる組織」が成り立ちます。
「官僚制組織」自体は優秀
タイトルだと、何だか悪い組織みたいに思える「官僚制組織」ですけど、この組織自体は優秀なんです。
その理由は
- 安定して統制できる組織
- 専門分野で分業ができる
だからです。
安定して統制できる組織
官僚制組織は「 規則・手続き」に従って動いている組織ですので、自分が決められた権限以上のことは出来ない(やりづらい)仕組みになっています。
要は、皆、好き勝手なことが出来ないと言うことですので、統制がしやすい組織です。
専門分野で分業ができる組織
官僚制組織はそれぞの階層にいる人達がそれぞれの専門分野を持っているので、効率的に分業が出来ます。
スーパーでいえば、野菜は野菜屋さんのスタッフさんが売上・利益を作ってくれるし、魚屋さんが肉屋さんを運営することはないと言うことです。
「官僚制組織」が行き過ぎてしまうと
官僚制組織は「安定して統制できる組織」「効率的な組織」が作れる点では良い形ですけど、実は秩序を守ために「規則・手続き」の徹底をしすぎると、全体の仕事の「質」が落ちるんです。
それを「官僚制の逆機能」と言います。
これから説明していきますね。
官僚制の逆機能
「官僚制の逆機能」では5つの現象が起きます。
- ルール・規則が1人歩きする
- 頭カチカチの組織になってくる
- 必要以上の事はやらなくなる
- お客様・従業員に不満足が生まれる
- ルール・規則を守ことが仕事だと思うようになる
ルール・規則が1人歩きする
官僚制組織はルール・規則に則って作られた「マニュアル」に従って働く事を大事にします。
このマニュアルが今の現状に合っていない方法で、組織が見直しをしない物だとしたら、合うように自分で方法を変えちゃっても良いのでしょうか?
否、それでもマニュアルを守ことを求められるのが官僚制組織です。
そうなると、ルール・規則が1人歩きをしてしまいます。
頭カチカチの組織になってくる
官僚制組織は従来のルール・規則を守ることを大事にしています。それに拘る人たちが多くなってしまうので、下層からの「新しいルール」の提案を受け入れられない(環境の変化に対応できない)頭カチカチな人だらけの組織が出来上がってきます。
必要以上のことをやらなくなる
官僚制組織は階層ごとにルール・規則で「やって良いいこと・悪いこと」が決められていて、それをやっていれば褒められますし、何もお咎めがありません。
逆に言うと、必要以上のことをやらなくても良いと言う事です。
もし、必要以上のことをしてこなかった人たちが組織を改善するように要求されたらどうでしょうかね?出来そうにないですよねw
お客さま・従業員に不満足が生まれる
官僚制組織が行き過ぎると、お客様・従業員に不満足が生まれます。
それを見た従業員も「お客様の要望に答えられなかった」と思って心が痛みました。その後も他のお客様から似たような要望がありましたが、同じように断り、次第に従業員は「マニュアルを作り直したら良いのに」と不満を持つようになります。
官僚制組織はトップダウンの組織なので、こういった「下の階層の問題」をトップが把握・対応しないと、いつまでも時代に合わないマニュアルで対応する事になり、お客様と従業員が不満を持つ事になります。
ルール・規則を守ることが仕事だと思うようになる
会社は「商品・サービスの提供を通じて売上・利益を創造する」と言う大きな目的があります。その目的のために組織があって、ルール・規則があるのですが、官僚制組織がいきすぎてしまうと、いつの間にか「ルール・規則を守ること」が仕事だと思うようになって、本来の目的を忘れてしまいがちになります。
僕の会社の場合だと、目標利益額を達成していようと、「利益率」を達成していないとダメみたいなルールがあります。おかしいですw
行き過ぎた官僚制組織が良くなるには?
大幅な組織改革が必要
行き過ぎた官僚制組織が良くなるには大幅な組織改革が必要になります。具体的には
- 部下へ決定権を譲っていく(権限委譲)
- 階層を減らして、もっとフラットな組織にしていく(一部マトリックス組織の構築)
です。
簡単に言うと、もっと現場の意見を取り入れることが必要だと言うことです。
官僚制組織が行き過ぎると、働く人が機械の一部のように捉えられがちです。でも組織を構成しているのは働く「人間」で、感情や考え方を持っていて、時に組織のやり方に疑問や不満を持つことがあります。
それを無視してしまうと、組織からの離脱者(会社を辞めてしまう人)が増えたり、ぶら下がり社員が増えてしまって、組織全体の効率・成長が止まってしまいます。
トップが変わる
- トップの考え方が変わる(人物は変わらない)
- 社外の人間を入れて、今までの組織組織運営を変えていく
- トップが交代する
が必要とされます。キーパーソンは「トップ」である経営者です。
トップが「行き過ぎた官僚制組織」に危機感を持ち、環境の変化に対してもっと柔軟に対応できる組織風土を作らない限り、組織は良くなっていきません。
まとめ
官僚制組織は統率に安定感がある、優秀な組織ですが、あまりにもルール・手続きに固執してしまうと組織全体の成長が阻害されます。
あなたの会社の組織はガチガチの官僚制組織になっていませんか?