このページは、販売士1級(リテールマーケティング1級)検定科目「小売業の類型」の記述式問題集です。
平成21年から現在に至るまでの過去問から「小売業の類型」科目の記述式問題だけを集めました。
令和2年
第5問(記述)
カジュアル衣料品をめぐる専門店業界の業績を見ると、総じて独立系専門店(業種)は低迷傾向にあり、専門店チェーン(業態)は横ばいから上昇傾向にある。このような二極分化の背景にある代表的なデモグラフィック要因とライフスタイル要因をそれぞれ一つ挙げ、その内容を各2行程度で説明しなさい。
デモグラフィック要因としては、「団塊ジュニア市場の拡大化」が挙げられる。団塊ジュニア市場に積極的な専門店は比較的業績を伸ばしている。
ライフスタイル要因としては「カジュアル化の進展」が挙げられる。重苦しい服が敬遠され、ビジネスシーンでもラフな格好が目立つようになってきた。
第6問(記述)
循環型社会を形成していくために必要な「3R」を構成する3つの要素を挙げ、それぞれ1行で説明しなさい。
「リサイクル」:事業者による製品の回収・再利用の実施
「リデュース」:製品の省資源化・長寿命化による廃棄物の発生抑制
「リユース」:回収した製品からの部品などの再使用
平成31年
第5問 (記述)
中心市街地活性化法が2006年に改正された。主な改正点は、以下の3つである。改正後の要点について、それぞれ空欄に記述せよ。(25点)
②地元商工会議所、商工会、都市整備の公的機関、地権者、商業者からなる「中心市街地活性化協議会」の意見を聞きながら、市町村が作成する。
③内閣に「中心市街地活性化本部」が設置され、その長である内閣総理大臣が認定する
第6問 (記述)
チェーンストアオペレーションのメリットとデメリットをそれぞれ2つ挙げよ。(25点)
デメリット:市場の変化への対応力の不十分さ、地域特性に対する対応力の不十分さ、オペレーションの硬直化、現場社員のモラールの低下
平成30年
第5問 (記述)
日本の百貨店が買取制よりも委託・返品制度に依存する理由について「百貨店側」と「納入業者側」の立場から、それぞれ2行程度で説明しなさい。(25点)
納入業者側:委託・返品制度により、販売価格が管理しやすくなり、特にアパレル製品を中心としたブランドイメージを保持できる
第6問 (記述)
ショッピングセンター(SC)が、地域の消費者に支持されるためには、ディベロッパーとテナントはそれぞれの役割を明確にし、運営にあたる必要がある。2者の役割についてそれぞれ2行程度で説明しなさい。(25点)
テナントは、ディベロッパーの理念や戦略目標を理解し、他の入居テナントと協調し、各々の専門分野での品揃えやサービスを提供する
平成29年
第5問 (記述)
近年、日本の小売業の海外進出(中国、ASEAN)が活性化している。こうした傾向に対する社会的要因を中心に国内要因と現地要因に分けて所定の解答欄に2行で記述しなさい。(25点)
現地要因としては①中間所得層の増加による消費市場の拡大、②物流などのインフラの整備促進、③資本の自由化などの規制緩和
第6問 (記述)
ホームセンターにおける住居関連需要としては「ホームインプルーブメント」「ホームファーニシング」「ホームデコレーション」などがある。所定の解答欄にそれぞれの用語の意味を相違がわかるように2行程度で具体的に記述しなさい。(25点)
住居を機能面で維持していくために必要な「義務的なメンテナンス」
ホームファーニシング
日常生活をより快適にすることを目的に機の面の充実を図ること
ホームデコレーション
日常生活を送るうえで必要な空間の飾り付け
平成28年
第5問 (記述)
チェーンストア理論にもとづく3つの標準化のうち、①オペレーションの標準化、②店舗の標準化について、(ア)その目的と(イ)具体的に何を標準化するのか、所定の解答欄にそれぞれ記述しなさい。(25点)
(ア)人件費コスト削減のため
(イ)店舗の運営システム、従業員の役割、具体的作業など
②店舗の標準化
(ア)店舗開発コストの削減のため
(イ)店舗の立地、商圏、規模、内外装と仕様、客動線、フロアゾーニング、フロアレイアウト
第6問 (記述)
P.F.ドラッカーは、賃金を支給される職務における責任と義務について、「コミットメント」、「レスポンシビリティ」、「アカウンタビリティ」の3要素をプロセスとして捉えることを提唱したが、これはチェーンストアなどの小売企業のマネジメントにおいても重要な要素である。3要素の意味をプロセスと関連づけて、それぞれを所定の解答欄に記述しなさい。(25点)
コミットメント:チェーンストア全体、専門部署、個人の成果目標とそれを達成するための計画を作成し、それに基づく作業の実行と成果の達成を契約すること。管理者は経営トップとコミットメントし、従業員は管理者に対してコミットメントする。
レスポンシビリティ:コミットメントの結果、作業の実行と成果の達成という責任のこと。プロセスとしては、中間で途中成果を報告し、管理者はそれを分析してコーチングを行う
アカウンタビリティ:作業方法上の問題や成果達成の障害から生じる原因を習慣・作業・制度の面から分析し、作業方法の改善と制度の改革の提案を含む
平成27年
第6問 (記述)
コンビエンスストア・チェーンは、多品種少量在庫の店舗運営を可能とするために、発注から納品までのリードタイム短縮のシステムや多頻度少量配送のシステムを構築してきた。
この2つのシステムが、なぜ多品種少量在庫の店舗運営に貢献するのか、その理由をそれぞれ2行程度で答案用紙の所定欄に記述しなさい。(25点)
第7問 (記述)
フランチャイズ・システムは、フランチャイジーとフランチャイザーが互いにWIN-WINの関係にあってこそ有効性を発揮する。
このWIN-WINの関係を、①統一ブランドの使用による相互メリット、②相互の投資負担の軽減という2つの視点からそれぞれ2行程度で答案用紙の所定欄に記述しなさい。(25点)
②フランチャイザーは事業拠点の拡大における投資負担を、フランチャイジーは事業開発投資の負担を軽減することができる。
平成26年
第6問 (記述)
フランチャイズ・システムのロイヤルティ徴収方式に関する粗利益分配方式、売上高比例方式および営業規模比例方式の算定基準について、答案用紙の所定欄に、それぞれ1~2行程度でに記述しなさい。(25点)
フランチャイジーの粗利益額に対する一定比率で算定する。
売上高比例方式
フランチャイジーの売上高、または売上に代わる手数料に対する一定比率で算定する。
営業規模比例方式
フランチャイジーの店舗面積や部屋数、車の保有台数など、その業種の規模を表す大きさや数量によって算出する。
第7問 (記述)
百貨店の仕入れ方式である委託仕入と消化仕入について、共通点と相違点を、答案用紙の所定欄に、それぞれ1~2行程度で簡潔に記述しなさい。(25点)
商品の在庫のリスクを百貨店側がもたず、売れ残った商品は仕入先に戻すことが可能である。
相違点
委託仕入は商品販売の手数料を得るのに対して、消化仕入は、買取仕入と表面上は同じように売上と原価が計上される。
平成25年
第6問(記述)
CVSシステムが創出する流通効用として5つ挙げられるが、そのうち場所の効用と消費即時性の効用について答案用紙に2行程度でその意味を簡潔に記述しなさい。(25点)
狭域商圏内で店舗数が多いことで、顧客の利便性と配送効率を高めることによって効用を発揮させている。
消費即時性の効用
購買リードタイムと使用リードタイムの短縮を目的に、商品を品ぞろえしておき、顧客が必要とするものをすぐに購入できるように商品を提供することによって効用を発揮させている。
第7問(記述)
メーカー主導型のSCMと小売業主導型のDCMにおける①意義、②交換される情報の内容について答案用紙に1~2行程度で簡潔に記述しなさい。(25点)
①意義
メーカーから小売業までの商品供給の連鎖における最適化の実現。
②交換される情報の内容
メーカー、素材メーカー、物流業などの間で主に原材料の調達に関する情報。
DCM
①意義
市場変化に対応した小売業主導のトータル・バリューチェーンの実現。
②交換される情報の内容
小売業とメーカー間の生産および商品流通に関する受発注情報。
平成24年
第6問(記述)
アジアにおける小売業の国際化のプル(国外)要因を、市場環境、法的規制、経営戦略の面から答案用紙にそれぞれ2項目ずつ簡潔に記入しなさい。(25点)
・人口の増加
・経済成長の拡大・持続
・小売市場の成長力
・競争の未発達
・経営規模の経済性
・インフラ整備の進展
法的規制面
・関税・資本の自由化
・出店・営業規制の緩和
・外国人就業者の規制緩和
・優遇税制
経営戦略面
・地理的多角化による経営リスクの分散
・魅力的な不動産投資の機会(地価の下落)
第7問 (記述)
アメリカにおけるスーパーセンター業態の主要な特徴を立地面、商品面、価格面からそれぞれ1つずつ箇条書きであげ、答案用紙に簡潔に記入しなさい。(25点)
・ルーラル(過疎地)立地に平屋ワンフロア構造で10,000㎡超の売場面積
・サバーブ(郊外)立地の周縁(周辺)取り込みによる新広域商圏創造型の店舗形態
商品面
・衣食住フルライン構成による日常生活必需品(消耗品・購買頻度の高い商品)のトータル・アソートメント
価格面
・ローコストオペレーション・システムによるEDLPの実現
平成23年
第6問 (記述)
小売業における需要予測による自動補充発注の効果について、3つのポイントをあげ、その内容について答案用紙にそれぞれ2行程度の文章で記入しなさい。(25点)
売上貢献度の高い商品に対して高いレベルのサービス水準を維持し、モニタリングすることで売れ筋商品の機会損失を回避する。
(2)ポイント:不良在庫の最小化
売上貢献度の低い商品などが過剰在庫にならないようにモニタリングすることでキャッシュフローを改善させる。
(3)ポイント:店舗人件費効率の向上
発注担当者の作業時間を短縮させて、労働時間や人件費などの改善につなげる。
第7問 (記述)
チェーンストア理論における3つの標準化をあげ、その内容について答案用紙にそれぞれ2行程度の文章で記入しなさい。(25点)
店舗の立地、商圏、規模、内外装と仕様、動線およびレイアウトなどを標準化することで、店舗開発と店舗運営にかかわるコストを削減するとともに迅速な多店舗の出店および運営を可能にする。
(2)品ぞろえの標準化
地域性や個々の店舗の事情を考慮に入れたうえで、各店舗の大部分の品ぞろえを標準化することで、本部一括大量仕入によるバイイングパワーを高め、各店舗への商品の効率的配分を実現する。
(3)オペレーションの標準化
店舗の運営システム、従業員の役割、具体的作業などを「マニュアル」によって標準化するとともに、スーパーバイザーの巡回指導などにより各店舗運営を画一的に稼動させる。
平成22年
第6問(記述)
循環型社会における循環型流通チャネルの形成が求められる中で、家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)におけるメーカー、小売業、消費者のそれぞれの役割について、答案用紙に簡潔に記入しなさい。(25点)
小売業:排出者からの引き取りとメーカーへの引き渡し
消費者:家庭4品目を廃棄する際、収集運搬料金とリサイクル料金を支払うこと
第7問(記述)
次の表は、平成18年に改正された中心市街地活性化法の主な改正点である。形成後の内容を答案用紙に簡潔に記入しなさい。(25点)
改正前 | 改正後 |
商業振興と市街地の整備改善が支援対象 | |
市町村の方針に沿ってTMOが構想を策定 | |
経済産業大臣が支援するTMO計画を認定 |
市町村の方針に沿ってTMOが構想を策定→地元商工会議所・商工会・都市整備の公的機関・地権者・商業者などからなる「中心市街地活性化協議会」の意見を聴きながら市町村が基本計画を策定
経済産業大臣が支援するTMO計画を認定→内閣に中心市街地活性化本部が設置され、本部長である内閣総理大臣が認定
平成21年
第6問 (記述)
フランチャイズ・システムがもたらす投資リスクの軽減効果について、フランチャイザー(本部)とフランチャイジー(加盟店)の各々の立場から、簡潔に記入しなさい。
フランチャイザーは営業拠点の拡大に伴い発生する投資(人・設備・運転資金)はフランチャイジーが負担するため、事業拡大のための投資負担が軽減される。
第7問 (記述)
「ジャストインタイム物流システム」について、簡潔に説明しなさい。