僕が水産部門の人時売上を2週間で890円改善した時にやったこと

水産部門で働いていると、売上や利益は常に気になります。
でも、現場を本当に強くするうえで大事なのは、それだけではないと僕は思っています。

僕が特に重視しているのが、人時売上です。

どれだけの人員と時間を使って、どれだけの売上を作れたのか。
この数字を見ると、現場が効率よく回っているのか、それとも作業に追われているだけなのかがよく見えてきます。

実際、僕が担当していた水産部門では、人時売上が10,890円から11,780円まで改善したことがあります。
期間はたったの2週間です。

今回は、その時に何を見直して、何に苦労して、どうやって改善につなげたのかを書いてみます。

目次

改善前は「忙しいのに数字が残らない」状態だった

改善前の部門は、とにかく毎日忙しかったです。
作業量は多く、現場はずっと動いている。
でも、その忙しさのわりに数字の伸びが弱い感覚がありました。

人時売上は10,890円
悪すぎる数字ではないかもしれませんが、現場の負担感を考えると、もっと改善できる余地があると感じていました。

問題だったのは、みんなが頑張っていないことではありません。
むしろ逆で、みんな作業に追われすぎていたことが問題でした。

目の前の加工、品出し、清掃、値引き、片付け。
その日の業務を回すだけで時間がなくなり、肝心の販売計画や発注をしっかり考える時間が取れない
これが部門全体の精度を下げていたと思います。

この状態では、売れるかどうか分からないまま作ることも増えますし、発注も感覚に寄りやすくなります。
その結果、売上や利益を生まない作業が増え、忙しいわりに数字が残らない。
そんな悪循環に入っていました。

一番効果があったのは「業務の設計」と「人材育成」

人時売上を改善するうえで、一番効果があったのは、業務の設計人材育成でした。

水産部門は、頑張るだけでは良くなりません。
誰が、どの時間に、何を、どのレベルまでやるのか。
そこが曖昧だと、現場はすぐに非効率になります。

当時の僕がまずやったのは、

  • この仕事は誰がやるべきか
  • どこまでを標準にするか
  • 何を優先して、何を後回しにするか

を整理することでした。

これまでは、その日の忙しさに合わせて、その場その場で回している部分もありました。
でも、それだと毎回判断が必要になり、結局ムダが増えます。

だからこそ、業務そのものを設計し直して、
できるだけ迷わず動ける現場を作ることを意識しました。

そして、それと同じくらい重視したのが人材育成です。
僕が人材育成を進めたのには、はっきりとした目的が3つありました。

人材育成で目指していた3つのこと

1. メンバーの多能工化を進めること

特定の人にしかできない仕事が多い現場は、どうしても不安定になります。
誰かが休めば回らない。
忙しい日には、その人に負担が集中する。
結果として、部門全体の生産性も落ちやすくなります。

だから僕は、メンバーができる仕事の幅を広げることを意識しました。
一人ひとりが複数の業務をこなせるようになれば、シフトの柔軟性も上がりますし、現場の詰まりも減ります。

水産部門のように作業量の波が大きい職場では、
多能工化そのものが効率改善につながると感じています。

2. 社員がコア業務に時間を使えるようにすること

人材育成は、単に現場作業を回すためだけではありませんでした。
もう一つ大きかったのは、社員がコア業務に時間を使えるようにすることです。

社員がずっと目の前の作業に入っていると、部門の先を考える時間がなくなります。
販売計画を立てる。
発注精度を上げる。
売場の優先順位を考える。
数字を見て改善策を打つ。
こうした仕事こそ、本来社員がしっかり時間を使うべき業務だと僕は考えています。

でも、メンバーに任せられる仕事が少ないと、社員はどうしても作業に埋もれます。
だからこそ人を育てて、任せられる範囲を広げることが必要でした。

結果的にそれが、販売計画や発注に向き合う時間の確保につながり、部門全体の精度向上につながったと思います。

3. メンバーのモチベーションを上げること

もう一つ、人材育成にはモチベーション向上という目的もありました。

現場で毎日同じ単純作業ばかりやっていると、どうしても受け身になりやすいです。
自分の仕事の幅が広がらないと、やりがいや成長実感も持ちにくくなります。

逆に、できることが増えて、任される仕事が増えていくと、仕事への向き合い方は変わります。
「ただ指示されたことをやる人」ではなく、
自分が現場を回している一人だという意識が生まれやすくなります。

人材育成は、単なる教育ではなく、
現場の戦力を増やし、空気を変える手段でもあると僕は思っています。

本当に苦労したのは、改善のための時間を作ることだった

自分が抱え込む考え方を変える必要があった

以前の僕は、どこかで
「自分がやったほうが早い」
「まだ任せるには不安がある」
という考えを持っていました。

もちろん、水産部門では加工精度や衛生レベルが大事なので、簡単に任せられない仕事があるのも事実です。
でも、その考えのままだと、いつまでも自分が作業を抱え続けることになります。
そうなると、販売計画や発注に使う時間は永遠に生まれません。

だからまず必要だったのは、メンバーに作業を任せられなかった自分の考えを変えることでした。

加工精度を高めながら少しずつ作業を移譲した

任せるためには、ただ仕事を渡せばいいわけではありません。
メンバーの加工精度を向上させながら、少しずつ作業を移譲していくことが必要でした。

実際には、教えて、やらせて、確認して、修正する。
その繰り返しで、任せられる仕事を増やしていきました。

そうやって少しずつ自分が手を離せる作業を増やしたことで、ようやく自分の時間を確保できるようになりました。

販売計画と発注に使う時間を2倍にした

空いた時間を何となく使うのではなく、
販売計画と発注に充てる時間をこれまでの2倍取ることを意識しました。

改善前は、目の前の作業に追われて、計画や発注が後回しになりがちでした。
でも、部門の精度を上げるには、ここに時間を使わなければいけません。

売場をどう作るのか。
何をどれだけ売るのか。
どのタイミングで何を仕掛けるのか。
こうしたことを考える時間をしっかり取るようにしました。

開始時間と終了時間を決めて仕組みにした

ここで大事だったのは、「時間ができたらやる」ではなく、
販売計画作成と発注の開始時間・終了時間を明確に決めたことです。

これを決めておかないと、結局また現場作業に流されてしまいます。
だからこそ、いつ始めて、いつまでに終えるのかをはっきりさせて、その時間はできるだけ他の業務に飲まれないようにしました。

この形にしてからは、販売計画の精度が少しずつ上がり、発注も感覚ではなく根拠を持って組めるようになっていきました。

時間は自然には生まれない

結果として、売上や利益を生まない作業が減り、機会損失や手待ち時間の削減にもつながったと思います。

つまり、改善のための時間は、自然に生まれたわけではありません。
任せる考え方に変え、育成しながら仕事を移譲し、時間の使い方を仕組みとして決めたことで、初めて生まれたのだと思います。

ベトナム人メンバーとのコミュニケーションにも苦労した

もう一つ大きな課題だったのが、コミュニケーションです。

当時、部門メンバーの大半がベトナム人でした。
もちろん、みんな真面目に働いてくれていましたが、細かい意図や優先順位を伝える場面では難しさもありました。

特に難しかったのは、単に作業を教えるだけでは足りなかったことです。
水産部門では、水産物の加工精度が売場の品質に直結します。
包丁の入れ方、盛り付け、商品の見せ方、規格の揃え方など、少しのズレが商品価値に影響します。

さらに、水産は食品を扱う部門なので、食品衛生に関する教育も欠かせません。
衛生ルールを理解して守ることは当たり前ですが、それを言葉の違いがある中で正しく伝え、現場で同じレベルで実践してもらうのは簡単ではありませんでした。

加えて、育成の対象は水産加工だけではありません。
実際の現場では、品出し、売場管理、清掃、値引き、片付けなど、水産加工以外の業務も覚えてもらう必要がありました。

つまり僕がやろうとしていたのは、単に魚を加工できるようにすることではなく、
加工精度、衛生意識、周辺業務まで含めて現場で動ける人を育てることでした。

実際にどんなふうに教えたか

まずは自分でやって見せた

言葉だけで説明しても、特に水産の仕事は伝わりにくいです。
包丁の入れ方、盛り付け、商品の向き、スピード感、衛生的な動き方などは、実際に見たほうが早いことが多いです。

だからまずは、僕自身がやって見せるようにしていました。
実際の動きを見せることで、基準を共有しやすくなるからです。

次に本人にやらせて、その場で確認した

見せたあとで終わりではなく、次は本人に実際にやってもらいました。

そして、できているところとできていないところを、その場で確認する。
この流れをできるだけ繰り返すようにしていました。

ただ説明を聞くだけよりも、実際に手を動かしたほうが身につきやすいですし、どこでつまずいているのかも見えやすくなります。

できたことは褒め、できなかったことは冷静に伝えた

フィードバックするときに意識していたのは、感情的にならないことです。

上手にできたことはしっかり褒める。できなかった箇所は冷静に指摘して、改善方法まで伝える。
この形を意識していました。

できた部分を認めると、相手も自信を持ちやすいです。
逆に、できていない部分についても、ただ否定するのではなく、
「次はこうしたほうがいい」と具体的に伝えたほうが、次の行動につながりやすいと感じていました。

長い説明ではなく、短い言葉で伝えた

コミュニケーションの面では、長い説明をしすぎないことも意識していました。
部門メンバーの多くがベトナム人だったので、単語を並べるような形で、相手に分かりやすく伝えるようにしていました。

たとえば、難しい言い回しを使うのではなく、

  • 先にこれ
  • 次にこれ
  • これはダメ
  • ここを直す
  • もっと薄く
  • もっと丁寧に
  • これはOK

というように、できるだけ短く、シンプルに伝える。
そのうえで実際に見せる。
このほうが、細かい説明を長くするよりも伝わりやすかったです。

伝わる形で教えることを意識した

水産の現場では、ただ教えるだけでは足りません。
伝わる形で教えることが大事です。

このやり方を続けたことで、少しずつ任せられる仕事が増え、結果として現場全体の安定につながったと思います。

改善後に起きた変化

2週間取り組んだ結果、人時売上は10,890円から11,780円へ改善しました。
差額は890円です。

ここで大事なのは、売上や利益が爆発的に伸びたわけではないということです。
実際、売上・利益に大きな改善が見られたわけではありません

それでも人時売上が上がったのは、現場のムダが減ったからです。

改善後は、販売計画の精度が上がりました。
その結果、売上や利益を生まない作業が減少しました。

さらに、発注精度も上がったことで、
機会損失が減り、メンバーの手待ち時間も減少しました。

そして一番大きかったのは、部門全体で残業時間が25時間減ったことです。

これはかなり大きい変化でした。
売上を無理に伸ばしたというより、
同じ部門運営を、より少ない労働時間で回せるようになったことで、人時売上が改善した形です。

人時売上は「売上を上げること」だけで改善するわけではない

この経験を通して改めて感じたのは、
人時売上は、単純に売上を伸ばせば上がる数字ではないということです。

もちろん売上アップも大事です。
でも、現場の設計が悪く、ムダな作業が多く、発注や計画の精度が低ければ、どれだけ忙しくても人時売上は伸びません。

逆に言えば、

  • 業務を整理する
  • 人を育てる
  • 計画の精度を上げる
  • 発注の精度を上げる
  • ムダな作業と手待ち時間を減らす

こうした地道な改善でも、人時売上はしっかり変わります。

実際、今回の改善はまさにそれでした。
派手な販促を打ったわけでもなければ、売上が急増したわけでもない。
でも、現場の回し方を変えたことで、数字は改善しました。

まとめ

僕が水産部門の人時売上を改善した時にやったことは、
特別なことではなく、業務の設計と人材育成を見直したことでした。

改善前の人時売上は10,890円
改善後は11,780円
期間は2週間です。

その裏でやったことは、

  • 作業に追われる現場を見直す
  • 販売計画と発注に時間を使えるようにする
  • メンバーの多能工化を進める
  • 社員がコア業務に集中できる状態を作る
  • メンバーのモチベーションが上がる育成を意識する
  • 水産物の加工精度を高める
  • 食品衛生の基準を共有する
  • 水産加工以外の業務も教えて任せられる範囲を広げる
  • 伝わる形で教える
  • コミュニケーションの壁があっても伝わる形に整える
  • 売上や利益を生まない作業を減らす

という、かなり地味なことの積み重ねでした。

でも、水産部門の改善は、こういう地味な積み重ねがいちばん強いと僕は思っています。

売上や利益に大きな変化がなくても、
残業時間が25時間減り、機会損失や手待ち時間が減った。
それだけでも、現場としては十分大きな前進です。

人時売上は、ただの管理数字ではありません。
現場がどれだけ整理されているかを映す数字だと思います。

もし今、部門の忙しさのわりに数字が伸びないと感じているなら、
売上だけではなく、業務の設計や育成のあり方を見直してみると、改善の糸口が見つかるかもしれません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次