包丁の使い方で一番大事なのは、実は「姿勢」です【動画アリ】

水産部門で働き始めると、包丁の使い方を覚える場面は必ず出てきます。

三枚おろし、柵取り、切り身加工、刺身づくり。
魚の加工は、包丁が使えないと仕事になりません。

だからみんな、包丁の持ち方や刃の入れ方は教わります。
でも実際には、そこより前に大事なことがあります。

それが、姿勢です。

しかもこの姿勢って、意外とちゃんと教えてもらえません。

「もっと包丁を引いて」
「刃を使って」
「力を入れすぎないで」

こういうことは言われても、
どういう姿勢で立てばいいのかまでは、あまり細かく教わらないことが多いです。

でも、包丁が安定しない人を見ていると、原因は手先より先にあります。
それが、頭の位置です。

包丁を使うときは、
頭を切るものの上に置いて、動かさないこと
これがとても大事です。

今回は、このことを水産部門の新人〜中堅担当者向けに、できるだけわかりやすく説明します。


目次

包丁が安定しない人は、手より先に頭が動いている

水産部門で新人の加工を見ていると、
「危ないわけではないけど、なんか安定しないな」
「切れてはいるけど、きれいに決まらないな」
と感じることがあります。

そういうとき、手元だけを見ていると原因を見落としやすいです。

実際には、包丁より先に頭が動いていることが多いからです。

魚を切るたびに頭が前後に動く。
包丁を入れるたびに顔の位置がずれる。
上半身ごと揺れながら切ってしまう。

こうなると、包丁の軌道も毎回変わります。

その結果、

  • 刃先ばかり使ってしまう
  • 思った場所に刃が入らない
  • 身をつぶしやすい
  • 途中で引っかかる
  • 無駄に力が入る
  • 加工スピードが安定しない

ということが起きやすくなります。

本人は「まだ包丁に慣れていないから」と思っているかもしれません。
でも実際には、技術以前に姿勢が安定していないことが原因になっている場合がかなりあります。


まず意識してほしいのは「頭を魚の上に置く」こと

水産部門で包丁を使うときに、まず意識してほしいのはここです。

頭を、切る魚の上に置くこと。

たとえば、まな板の上にアジやサバを置いて加工するなら、
その魚の上に自分の頭がくるように立つ。
柵を引くときも、刺身を切るときも同じです。

そして、切っている間はその頭の位置をなるべく動かさない。

これが基本です。

頭が魚の上にあると、
自分の目で見ている位置と、実際に包丁を入れる位置が一致しやすくなります。

逆に、頭が横にずれていたり、少し後ろに引いていたりすると、
本人は見ているつもりでも、刃が狙ったところに入りにくくなります。

特に水産の加工は、ただ切れればいいわけではありません。

  • 骨に沿って外す
  • 身を崩さない
  • 歩留まりを落とさない
  • 商品として見栄えよく仕上げる

こういうことが求められます。

だからこそ、最初に大事になるのが、
頭を切るものの上に置く姿勢なんです。


頭が安定すると、包丁の刃全体が使える

ここが一番大事なポイントです。

頭を魚の上に置いて、動かさない。
そうすると、包丁の刃全体が使いやすくなります。

包丁は、刃先だけで使うものではありません。
本来は、根元から刃先まで、刃全体を使って切ることで、余計な力をかけずにきれいに切れます。

でも、水産部門の新人によくあるのが、頭が動くせいで包丁の軌道もぶれてしまい、
結果として刃先しか使えない状態になることです。

そうなると、

  • 引き切りが浅くなる
  • 一回で切れず何度も当てる
  • 身を押してしまう
  • 切り口が荒れる
  • 見た目が悪くなる

といったことが起きます。

魚の商品化では、この差がそのまま売場の品質に出ます。

逆に、頭の位置が安定すると、包丁を前に送る動きも、引く動きもまっすぐになります。
すると、刃の一部だけではなく、刃全体を自然に使えるようになります。

「もっと刃を使って」と言われても、姿勢ができていなければ難しいです。
だから先に直すべきなのは、手先よりも頭の位置です。

動画で実際に見てもらおう

一つ、動画を紹介します。

ここで見てもらう動画は、前職で後輩社員に包丁の使い方を教えた動画です。

教える前の後輩社員は、頭の位置の重要さが分かっておらず、冷凍切り身を切る時に包丁の一点だけを使って包丁を押し付けるように切っていました。

そこで、僕が頭を切るものの上に置いて動かさず、包丁の切先から切り出すように指示しました。

若干動画が見づらくて申し訳ありませんが、包丁がまな板から浮かずに、カーブを描いてまな板に設置していく動きが分かるかと思います。

水産の加工は、手先の器用さだけではうまくならない

包丁仕事というと、どうしても
「センスがある人はうまい」
「器用な人の方が有利」
と思われがちです。

たしかに多少の差はあります。
でも、水産部門の加工は手先だけでは決まりません。

立ち方があって、体の向きがあって、視線があって、その上で手が動いています。

特に頭は重さがあるので、そこが動くと上半身がぶれます。
上半身がぶれれば、腕もぶれます。
腕がぶれれば、当然包丁もぶれます。

魚をきれいに切れない人に対して、
手元のことだけを細かく言っても改善しないのは、このためです。

まずは、
頭を魚の上に置く
頭を動かさない
これを意識するだけで、かなり変わります。


砥石で包丁を研ぐ時も、実は同じです

これは魚を切るときだけの話ではありません。
砥石で包丁を研ぐ時も同じです。

包丁を研ぐのが安定しない人を見ていると、やはり手先の前に頭が動いていることが多いです。

砥石に包丁を当てながら、頭が前後に動く。
刃を送るたびに顔の位置がずれる。
体ごと揺れながら研いでしまう。

こうなると、包丁を当てる角度が安定しません。
毎回少しずつ当たり方が変わるので、きれいに研げなくなります。

研いでいる本人は同じように動かしているつもりでも、頭が動くと視線もぶれます。
視線がぶれれば、刃の角度もぶれます。

その結果、

  • 刃が均一に当たらない
  • 狙った面が研げない
  • 無駄に研ぎすぎる
  • 切れ味が安定しない
  • 研ぐのに時間がかかる

ということが起きやすくなります。

だから砥石で研ぐ時も、基本は同じです。
頭を、砥石と包丁の当たっている場所の上に置いて、動かさないこと。

頭の位置が安定すると、見ている角度が安定します。
見ている角度が安定すると、包丁を当てる角度も安定します。
その結果、余計なぶれが減って、狙った形で研ぎやすくなります。

包丁で魚を切る時も、砥石で研ぐ時も、結局大事なのは同じです。
手先の前に、姿勢を安定させること。
その土台として、頭を動かさないことがとても重要です。


うまい人ほど、頭の位置が静か

加工がうまい人を見ると、手の動きばかりに目が行きます。
でも、実際によく見るべきなのはそこだけではありません。

うまい人ほど、頭の位置が静かです。

包丁は動いている。
手も動いている。
でも、頭がぶれない。

だから視線も安定して、狙ったところに刃が入ります。
結果として、きれいに、早く、無駄なく加工できます。

中堅担当者になると、ある程度は魚を触れるようになります。
でも、ここで伸び悩む人もいます。

その原因のひとつが、
自己流で包丁を動かしていて、姿勢が固まっていないことです。

ある程度できるからこそ、細かい姿勢を見直さなくなる。
でも実は、そこを直すだけで加工精度はまだ上がります。

新人だけでなく、中堅にも大事な話だと思います。


教わる側も、教える側も、この視点を持った方がいい

水産部門では、包丁の使い方を感覚で教えてしまうことが多いです。

「もっとこう切って」
「そこはスッと引いて」
「力を入れないで」

もちろん間違いではありません。
でも、それだけだと新人には伝わりにくいです。

何を意識すればいいのかが曖昧だからです。

そんなときは、もっとシンプルに
「頭を魚の上に置いて」
「頭を動かさないで切ってみて」
と伝えた方がわかりやすいです。

砥石で研ぎを教える時も同じです。
**「刃の角度を合わせて」**だけで終わるのではなく、
「頭を当たっている場所の上に置いて」
「頭を動かさないで研いでみて」
と伝えると、安定しやすくなります。

新人にとっても意識する場所がはっきりしますし、
教える側にとってもポイントを絞って伝えやすくなります。

水産部門の教育では、包丁の角度やスピードだけではなく、
こういう姿勢の土台を言葉にして教えることが大事だと思います。


まずは自分の頭が動いていないかを確認してほしい

包丁がうまく使えない。
魚をきれいにおろせない。
柵取りが安定しない。
刺身の切り口がそろわない。

あるいは、
包丁を研いでいるのに、なかなか切れるようにならない。
毎回研ぎ上がりが違う。
角度が安定しない。

そういうときは、手先のことだけを直そうとする前に、まずここを見てください。

自分の頭は、魚の上にあるか。
自分の頭は、砥石と包丁が当たっている場所の上にあるか。
そして、その頭が動いていないか。

ここが変わるだけで、包丁の安定感はかなり変わります。

水産部門の仕事では、包丁が使えるかどうかが加工の質にも、スピードにも、自信にもつながります。
だからこそ、最初に身につけるべきなのは、難しい技術ではなく正しい姿勢です。

その中でも特に大事なのが、
頭を切るものの上に置いて、動かさないこと。

実は、ここをちゃんと教えてもらっていない人は多いと思います。
でも逆に言えば、ここを意識するだけで包丁の使い方はかなり変わります。

新人の人は、まずここから意識してみてください。
中堅の人は、自分の姿勢が自己流になっていないかを一度見直してみてください。

包丁の技術を上げたいなら、まずは手先ではなく、姿勢からです。

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